HOKKAIDO IN PROGRESS

 

北海道で現代アートのプロジェクトを考える

 

現代アートのプロジェクトとは、美術館やギャラリー内での展示ではなく、屋外でその地域の人たちとともにアート作品を組み立てていくことです。そしてそのプロセスも同時に体感してもらおうとするものです。
2011年1月22日・23日に北海道近代美術館でアートプロジェクトを考えるトークと、ワークショップを行いました。参加者全員がブレインストーミング(フリートーク)のような形で、思い思いアートプロジェクトを提案していきます。そしてみんなでディスカッションし、将来的に現実可能な活動の方針を決めます。少しずつ 、さまざまなアイディアを刷り込みながら、ひとつの活動に集約させていく「インプログレス」の手法を使って、北海道で将来的に現代アートのプロジェクトを展開していきます。

 

川俣正

 

 

 

 

 

 

PROFILE

 
川俣正 │ Tadashi Kawamata

 

 

北海道三笠市出身。東京藝術大学美術学部博士課程満期退学。
28 歳でヴェネツィア・ビエンナーレの参加アーティストに選ばれ、その後もドクメンタなど、世界的に高い評価を獲得し続け、2005 年には、横浜トリエンナーレの総合ディレクターを務める。また、東京藝術大学が革新的な試みとして設置した「先端芸術表現科」の立ち上げに主任教授として着任。既存の美術表現の枠組みを超えていく試みを実践。2007年からはフランス・パリ国立高等芸術学院で教授を務めた。
建築や都市計画、歴史学や社会学、日常のコミュニケーション、あるいは医療にまで及ぶ分野とかかわり、海外でもっともよく知られている日本人アーティストのひとり。現在、フランス・パリを拠点に欧州・アジア地域で活動を展開している。

 

これまでに北海道で行った代表的なプロジェクトとして、1983年に札幌で行った『テトラハウス・326プロジェクト』がある。一般の住宅一軒を1ヶ月の 期限付きで借り受け、そこに廃材を建物の内外に張り巡らし、その後、もとの住宅に戻すという全プロセスをアートプロジェクトとして位置づけた。
さらに2002年、帯広で開催された国際美術展『デメーテル』では、ばんえい競馬をテーマとしたプロジェクト型の作品で参加。
2008年・2009年には、出身地である三笠市でトークとワークショップのプログラムを行い、会場となったミカサ・モダンアート・ミュージアムの一角は川俣作品の常設ギャラリー『川俣ルーム』として一般公開されている。
2011年1月には、北海道での長期プロジェクト『北海道インプログレス』のスタートアッププログラムを北海道立近代美術館で行った。2012年からは、北海道インプログレスの拠点作りを目的とした「三笠プロジェクト」を三笠市内の廃校にて始動。2014年に作品が完成し、2015年に活動とプロセスを網羅したカタログが完成した。2016年には新たな取り組み「岩見沢プロジェクト」に着手。
 

1953年 北海道三笠市奔別 生まれ

 

1982年 第40回ヴェネツィア・ビエンナーレ
1984年 東京藝術大学博士課程満期退学
1987年 ドクメンタ8、第19回サンパウロ国際ビエンナーレ
1992年 ドクメンタ9
1993年 第2回リヨン現代美術ビエンナーレ
1998年 第11回シドニービエンナーレ
1999年   東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授(〜2005年)
2000年 越後妻有アートトリエンナーレ/ 日本文化芸術振興賞受賞
2002年 第4回上海ビエンナーレ、釜山ビエンナーレ
2003年 ヴァレンシアビエンナーレ
2005年 横浜トリエンナーレ総合ディレクター
2007年   パリ国立高等芸術学院教授(〜2019年)
2009年 越後妻有アートトリエンナーレ2009
2013年 芸術選奨 文部科学大臣賞受賞
2016年 Under the Water/ポンピドーセンターメス

 

 

 

┃これまでに国内で行った主なプロジェクト
  アパートメント・プロジェクト『テトラハウス N―3 W―26』(北海道札幌市/1983)
  コールマイン田川プロジェクト(福岡県田川市/1996-2006)
  ワーク・イン・プログレス豊田(愛知県豊田市/2000-) 他

 

┃国内での主な展覧会
  デイリーニュース(水戸芸術館現代美術ギャラリー/2001)
  通路(東京都現代美術館/2008)
  Expand BankART(BankArt Studio NYK/2012) 
  「工事中」再開(アートフロントギャラリー/2017) 他